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「軽井沢昆虫クラブ_昆虫探索記」の記事
2018年 初採集 ~今シーズン初・今年初の越冬幼虫採集&材割り~
2018年2月10日あけましておめでとうございます。
と言いつつも2月です。あと4日でバレンタインも控えています。
昨年、冬用の防寒ジャケットがほしいと思って、私の採集着と同じ緑色のジャンパーを買ったのです。
このジャンパー、最近になってある特殊効果を発揮し始めました。それは…
「ホームセンターで店員に間違われる」
お客さんからするとイメージは従業員のようで、腰にウェストポーチをつけていると2回ほど間違われました。
ちょっとそれは考えてなかった。
ちなみに、今回のメイン画像は先月末の「皆既月食」の写真です。
意図せず舞い上がった雪と色を誇張するファインダーのおかげで私としては美しい写真に仕上がっていますが、肝心の月はというと、画面中央の鮮やかな赤い点になります。
…わかりました?ちょっと難しいかな?目が疲れるので画面を凝視して探すのは控えてくださいね。
さて、本題に入ります。
まずはこちらをご覧ください。
アカマキバサシガメ Gorpis brevilineatus(Scott,1874)
ちらっと見た感じではカマキリの幼虫。
でもよく見ると、サシガメの仲間で、前足が太くなっているだけだと分かります。
これは先日、母が家の中で発見したもので、図鑑ではそんなに珍しくない昆虫らしいですが、私は初めて見ました。
そしてこのカメムシを見て思いました。
「採集に行こう。」
幸い明日は土曜日、天気もいいらしいですから、絶好の採集日和。
翌日。天気は晴れ。部長は暇。採集しに行きます。
冬なのでユキヤナギの木を見ながら進みます。
ユキヤナギにつくホシミスジの越冬巣 Neptis iwasei iwasei Fujioka,1998
私が去年知ってから楽しんでいるホシミスジの採集法。
軽井沢はユキヤナギが多いのでいたるところにホシミスジがいます。
幼虫は葉を糸で巻いて、枝にくっついた葉の中で越冬します。
冬になるにつれて葉が落ちるため、越冬巣だけが残って見つけやすくなります。
中はこんな感じ。
ホシミスジ幼虫の頭
チョコっと見える幼虫の頭がかわいらしいですね。
1つ見つかると周りに複数あることが多いので、
ホシミスジ越冬巣(2)
ありましたね。
ホシミスジ越冬巣(3)
この越冬巣がちょっと面白かった。
ホシミスジ幼虫
丸見えです。葉を巻けていません。
おかげで幼虫がどんな形かよくわかりますが、寒くないのかしら?
次の木に向かいます。
ホシミスジ越冬巣(4)
さらに次の木
ホシミスジ蛹殻(尾端)
ホシミスジ蛹殻(尾端・2)
こちらは羽化殻の一部。
昨年は同じ場所で完品の羽化殻を採集しています。
ホシミスジ越冬巣(5)
ちょっと探せばたくさん見つかりますね。
そろそろ材を割って採集したい。
適当な場所に向かって大きめの木を割ってみます。
太さ50cmほどの白腐れ材。割ってみると新しめの食痕があちこちに。
割り始めてから5分ほど。
カミキリムシの仲間の幼虫
「やっと出たよ!幼虫!」
非常に小さい幼虫。食痕の大きさからしてまだ他のがいると思うが、ひとまず満足。
つぎに向かおうとして…
甲虫の前胸背(パーツ)
「絶対に種類が分からないのに採集したくなるのはなんでだろう?」
結局回収はしたが、なんという昆虫かはさっぱりわからなかった。
採集地
少し場所を変えて、私の中で「クワガタ御神木」と言われる場所があり、そこには直径1メートルを超える大木の朽ち木がポツンとあるのですが、なんとその木、コクワガタの幼虫をたくさん取れるポイント。
今年も1匹ぐらいほしいなーと思ったのですが、…「何にもいないぞ?」
5分ほど割ってようやく
ゴミムシダマシ?の仲間の幼虫
「あー。君ではないんだよなー。」
この類の幼虫はクワガタと一緒によく出て来る。
そして再び5分。2月に入ってカチカチに凍った材を割ります。
食痕(=糞)もカチカチで、割った時に口に飛んできてびっくりした。
凍っているのは材だけでなく、幼虫たちも。
コガネムシの仲間の幼虫・凍っています。
惜しい。感覚としては近いんだけどなー。
でも一応採集。何が出て来るかしら?
さらに、
スズメガの仲間の蛹
でっかいなー。今回はリリース。
コガネムシの仲間の幼虫(2)・凍っています。
おしりからのアプローチ。
コガネムシの仲間の幼虫(3)・凍っています。
背中からもアプローチ。
クワガタの1齢幼虫
「うぬ…?」毎年やらかしてしまう事態。
「やってしまった―!!またやってしまったではないかー!」(泣)
クワガタをつぶしてしまいましたね。こればかりは何とも。
申し訳ありません。ご冥福を祈っております。
ムネアカオオアリの越冬集団 Camponotus obscuripes Mayr,1878
こちらも毎年恒例。アリの越冬集団。
ムネアカオオアリ Camponotus obscuripes Mayr,1878
凍っているようですね。動きが全くないので採集が楽です。
ムネアカオオアリの越冬集団 Camponotus obscuripes Mayr,1878
左下に大きく見えるのは女王アリです。多くの越冬集団は女王アリ、複数の働きアリ、少数の幼虫で成り立っています。
この子たちは飼育してみたいのでお持ち帰りです。(なかなか飼育に成功しない。)
結局クワガタが一匹も(腕が悪くて)採れないので再び場所を移動。
適当に削っていると
ハバチの仲間の前蛹
なかなか変わったものを見た。
ハバチって木の中で蛹になるんだ。意外。
そろそろ甲虫の越冬成虫が出てきてくれると…
アカコメツキの仲間 Ampedus sp.
「やたー!!採れたよー!」そのときは喜んだ。
家に帰って調べるが、アカコメツキなどの赤いコメツキムシは同定が非常に難しい。
本種もそのようで、
①ハネビロアカコメツキ A. puniceus Lewis に似ているが本種は少し細い。「ハネビロ」な感じではない。
②ウススジキバネコメツキ A. takeuchii Kishii によく似ているが、ウススジキバネは北海道にしかいない。そんなまさか。
③ミヤマタテスジコメツキ A. gracilipes Lewis に似ているが、「背面の毛が黄褐色」という特徴は本種には当てはまらず、毛は黒だ。
なんと顕微鏡でのぞいてもわからない!!これは困った。
でもうれしいものはうれしいのだ。
もうそろそろいいかなーと思っていたら
アシミゾナガゴミムシ Pterostichus sulcitarsis Morawitz
ゴミムシきたー!
久しぶりのゴミムシ。私はなかなか材割りでゴミムシやオサムシをとったことがない。
これはうれしい。が、そんなのはつかの間。
家に帰って調べたところ、「ごく普通種」。
「なーんだよそれー。もうちょっと評価してよー。」
言っても無駄だが、どうやらいる所にはたくさんいるらしい。
っとここで採集終了。
本日の成果(採集のみ)
ホシミスジ越冬巣 x6
カミキリムシ幼虫 x1
甲虫パーツ x1
コガネムシ幼虫 x3
ムネアカオオアリ 女王x1, 働き x13, 幼虫 x複数
ハバチ前蛹 x1
アカコメツキの仲間 x1
アシミゾナガゴミムシ x1
以上。
非常に楽しい採集だった。
今年はどんな1年になるんでしょう?
今年も昆虫クラブが始まります。
一番近いもので3月。今年から、月1採集会になりますので、皆様ご都合良くして軽井沢に来てください。
新入部員も絶賛募集中です。